中古ストーブ市場はありません

決して安くない薪ストーブ。中古ってないのかしら……とたまに聞かれます。答えは、現在のところ中古市場はありません。

薪ストーブを買い変えるタイミングは、古くなって不具合が出てきたから、というのがほとんどです。今、日本で薪ストーブがメジャーになりはじめて15年〜20年ですから、ちょうど買い替え時期が来ていると言えますが、使いこまれた薪ストーブはもうかなりガタがきていますし、あまり使われなかった薪ストーブは、内部が錆びていたり、古い部品がそろわなかったりで、やはり使うことができません。

余談になりますが、新しいストーブを買った場合、古い薪ストーブは、ほとんどの店が引き取ってくれるはずです。そして古いストーブはリサイクル業者に回収されます。実はどんなメーカーの薪ストーブも、全体の90%以上がリサイクル鉄を使って造られています。バージンアイアンではないのです。

話を戻しますが、薪ストーブの中古、というのは非常に珍しい。たまにオークションなどに出ている場合もありますが、運搬がとても大変ですし、そうやって手に入れた薪ストーブは自分で設置しなければなりません。薪ストーブ屋としては品質の保証ができないので、まず設置だけの仕事はしてくれないでしょう。私の店でもお断りしています。

例えばお金に余裕のある人が、「買ったばかりだけど、ちょっと小さかったから、大きい機種に買い替えるよ」なんてことがたまにありますが、ほんのたまに、です。普段から薪ストーブ屋さんと仲良くしておくと、そんな美味しい話が出てくるかもしれませんが……。いずれにしても、薪ストーブ屋さんで程度の良い中古をタイミングよく手に入れられたら、相当ラッキーだと思いましょう。

中古市場はありません、と言っても、かなり新規参入が増えた薪ストーブ業界。良し悪しは別にして、中古薪ストーブが流通するのも時間の問題かもしれません。しかし日本には薪ストーブに関する法律規制は少なく、煙突に関する法律(建築基準法)も若干あるだけです。施工や使用に対しても基準が少なく、個々の判断にゆだねられています。このままの現状で、素性の知れない中古ストーブを使うのは危険きわまりないと言わざるを得ません。

薪ストーブの魅力を伝え、正しく使ってもらうためにも、心ある薪ストーブ屋は常に研修や情報収集を行っています。日本には「日本暖炉ストーブ協会」という団体があり、暖炉や薪ストーブの品質保持、安全性の検証、広報活動などを行っている日本最大の薪ストーブ関連社団法人です。主な輸入代理店や販売店など約100社が加入していますので、この協会に加入しているかどうか、というのも薪ストーブ屋を選ぶ際の目安にしていただきたいと思います。

薪ストーブに一番大切なものは、安全性です。価格が安いかどうか、というだけの視点では語れないものなのだと知っておきましょう。

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筆者:鷲巣 勤プロフィール

薪ストーブショップ『ブロス』のオーナーとして薪ストーブの世界にかかわること25年あまり。自宅ではバーモントのアンコールを使用。横浜店ではモルソー・7140を、山中湖店ではデファイアントとヨツールF500を楽しんでいる